Q:
私は44歳の男性で、5年程前に妻と離婚しました。離婚した元妻との間には、4歳の娘がいますが、元妻が親権者となりましたので、娘は元妻と一緒に暮らしています。
元妻とは家庭裁判所の調停で離婚しました。親権者でなくても私には娘と会う権利があるという話を聞いたことがあったので、離婚する際に、娘との面会交流についても調停で決めました。そのときには、「面会交流の頻度は2か月に1回、時間は30分程度、場所は娘が通う保育園で行う」という内容で決めました。裁判所で作ってもらった書面にも、そのように書かれています。
しかし、昨年頃から、保育園で娘に会うと、娘から、「パパと一緒に出かけたい」というようなことを言われるようになりました。私も、保育園で娘に会うだけでなく、動物園などに一緒に出かけたりして、娘と交流を図りたいと考えています。その場合、時間も30分間では足りません。また、できるなら、頻度も2か月に1回ではなく、毎月娘に会いたいと考えています。
そこで、そのような希望を元妻に伝えたのですが、「1度調停で決めたことだから、条件を変えることはできない」と言われ、拒否されてしまいました。
一度調停で面会交流の条件について決めてしまった場合、それを変えることはできないのでしょうか。

A:
面会交流は、同居していない親御さんが、ご自分のお子さんと会う権利のことを言いますが、この面会交流をする権利は、法律上認められている権利です。そのため、面会交流についてのお話し合いが当事者間でできない場合には、家庭裁判所の調停でお話し合いを進めることができます。
ご相談者のように、離婚調停の場でお話し合いを進めることもできますし、すでに離婚していたり、離婚はしていなくて別居だけしている状態などの場合にも、面会交流の調停、これを正式には、「子の監護に関する処分の調停」と言いますが、離婚とは別に面会交流だけについての調停を裁判所に申し立てて、お話し合いを進めることもできます。

やみくもに何回も調停を申し立てるのはあまり好ましくありませんが、調停は何回でも行うことができます。そのため、1度調停で決めても、再度調停を申し立てることができます。
1度決めた調停どおりに面会交流を行っていたけれども、それでは不都合が生じてきた場合や、お子さんの年齢によって、お子さんご自身の希望が出てきた場合などには、調停で再度お話し合いをする事情が生じていると言えますので、再度調停を申し立てて、もう1度面会交流についての話し合いを行うことができます。

Q:
以前別の方からのご相談の際にも調停についてのお話が出たと思うのですが、その際、調停というのは、裁判所で行うお話し合いなので、当事者双方が合意しないと、調停を成立させることができないという説明があったと思います。
なので、ご相談者が調停を申し立てても、元奥さんが、合意しないと、以前に決めた面会交流の内容を変えることはできないのでしょうか。

A:
そうですね。以前にもご説明させていただいたことがあったかと思いますが、調停というのは、裁判所を使って行うお話し合いのことなので、調停を成立させるためには、当事者双方の合意が必要ですので、当事者の意見がまとまらない場合には、調停を成立させることができません。
しかし、離婚調停の場合には、調停が不成立の場合には、裁判を起こす必要がありますが、それと違って面会交流の場合には、調停が不成立の場合には、自動的に審判というお手続きに移行します。審判というのは、裁判官が強制的に決定を出す手続きです。
個別のそれぞれのご事情によって変わってきますが、面会交流の審判になった場合には、1か月に1回程度の頻度で面会交流が認められることが多いです。そして、時間についても30分間よりも長くなることが多いですし、場所についても外出が認められることが多いです。
そのため、もしご相談者が面会交流の調停を申し立てても、元奥さんが、依然決めた面会交流の条件の変更に応じてくれなかった場合であっても、ご相談者のご意向に沿うような審判を裁判所が出してくれる可能性があると思います。

面会交流の調停は、ご自分でも申し立てることができますが、もしよくわからなかったり、ご自分ひとりでするのには不安があったりするという方は、わたくしどものような専門家にお気軽にご相談いただければと思います。

(11月9日放送)