Q:
私は、コンビニの正社員として働き始め、今年で3年目になります。勤務時間は、午前10時から午後11時までです。
他のバイトの人から、深夜労働は割増賃金がつくという話を聞きました。午後11時は深夜だと思うのですが、自分の給与明細書を見ても、時間外労働の部分しか割増賃金が支払われていないように思います。それとも、午後11時も時間外なのだから、深夜労働の割増賃金はもらえないのでしょうか?
もし、深夜労働分の割増賃金ももらえるなら、使用者に請求したいと思っています。

A:
【はじめに】
まず、割増賃金の概要についてご説明しておきます。法律上、割増賃金が生じる労働は、時間外労働、深夜労働、休日労働の3つがありますので、個別にご説明します。

【①時間外労働】
時間外労働とは、法定労働時間を超えた労働のことをいいます。法定労働時間とは、1日8時間・週40時間以内の労働時間をいい、これを超えた労働時間は、時間外労働として、使用者に割増賃金の支払い義務が生じます。
すなわち、1日8時間、もしくは週に40時間以上の労働をした場合には、その労働は時間外労働になるわけです。
時間外労働の場合の割増率は、1時間当たりの時給の2割5分増しとなります。

【②深夜労働】
次に、深夜労働についてです。これは午後10時から午前5時までの間の労働のことをいいます。
割増率は、1時間当たりの時給2割5分増しとなります。

【③休日労働】
そして、休日労働についてです。休日労働は、法定休日に労働した場合の労働をいいます。
法律上は、基本的に、1週間に1日の休日を与えれば良いとされており、法定休日とはこの1週間に1日与えられる休日のことをいいます。
具体的に考えてみましょう。例えば、会社が土日を休みにしている場合、土日いずれかの日は、法定休日には当たりません。そのため、その日に働いたとしても、休日労働にはなりません。つまり、1週間に1日でも休みが確保されているのであれば、休日労働は発生しないことになります。
ただし、時間外労働と休日労働は別々に判断されますので、例えば土曜日に働いたことで、週40時間の法定労働時間を超えて時間外労働が生じることもありえます。
割増率については、1時間当たりの給与の3割5分増しとなります。

【割増賃金の加算】
割増率が加算される場合がありますので、そちらについてもご説明します。
時間外労働かつ深夜労働の場合には割増率は5割になります。
また、休日労働かつ深夜労働の場合には割増率は6割になります。
なお、休日労働かつ時間外労働であっても、6割の割増賃金がもらえるわけではなく、3割5分の割増賃金にとどまります。

【質問に対する回答】
以上を前提にご質問にお答えします。
ご相談者の場合、午前10時から午後7時までが、通常の労働時間になります。
そのうえで、午後7時から午後10時までが時間外労働となり、この3時間については、2割5分の割増賃金が、そして、午後10時から午後11時までの1時間は、深夜労働かつ時間外労働となるので、5割増しの賃金がもらえることになります。

【賃金の消滅時効】
なお、賃金の消滅時効は2年となっています。
質問者の方の場合、3年間勤務しているとのことですが、2年以上前の割増賃金を請求しても、会社側から時効の主張がされる可能性が高いことにご注意ください。

(8月17日放送)