Q:
私は60代の女性です。約7か月前に、車の運転中に交通事故を起こしてしまいました。事故の相手は、自転車に乗っていた70代の女性です。
事故の状況ですが、それは信号機のある交差点での事故でした。私は交差点を左折しようと思っていたところ、私の前の車のワンボックスカーが右折するために、停止していましたので、私も車を一旦停止させました。前のワンボックスカーの左側スペースが空いていたので、私は左折するために、ブレーキから足を外し、左前方と後方を注意しながら、車を徐行させました。ワンボックスカーが大きく、左前前方が見えにくかったので、左前方には特に注意しながら、車を徐行させ始めました。スピードは10キロくらいだったと思います。すると突然、左前方から、自転車が勢いよくこちらに向かって走行してきました。私は危ないと思い、すぐにブレーキを踏みましたが、間に合わず、自転車とぶつかってしまいました。
自転車に乗っていた相手の方は、自転車が倒れて転んでしまいましたが、幸い、大きなけがはしなかったようで、すぐに自分で立ち上がって、歩くことができていました。その後、病院では、全治約1か月と診断されたそうです。後遺症はなかったと聞いています。
保険会社を通して相手の方と示談の話をしてもらっていますが、事故から7か月がたった今も、相手の方はまだ通院しているようで、なかなか示談ができません。今後、どのように進めたらよいでしょうか?
また、今後、警察や検事からの事情聴取があるようですが、何か気を付けることはありますか?
Q:
まず、1つ目の、今後どのように進めたらよいかというご質問についてご説明させていただきます。
事故を起こしてしまった場合、まずは保険会社を介して示談交渉が行われるのが通常です。そのため、ご相談者の場合も、今は保険会社が示談交渉をしているのだと思います。弁護士特約に入っておられる方の場合には、保険会社ではなく、弁護士が示談交渉を行うこともあります。
いきなり裁判を起こすという方法ではなく、まずは示談交渉をするというのが一般的です。
示談というのは、相手とのお話し合いで解決するという方法ですので、相手が過失割合などについて合意してくれない場合には、示談で解決することは難しくなってきます。
ご相談者の場合には、相手の方が全治約1か月と診断されて、後遺症もなかったもかかわらず、事故から約7か月経った現時点でもまだ通院を止めておらず、示談ができていないというご事情とのことですので、示談ができない場合も視野に入れておかれた方がよろしいかもしれません。
示談ができない場合には、裁判所に調停を申し立てたり、訴訟を起こしたりする方法があります。
しかし、調停もあくまでお話し合いですので、相手の方の合意が必要です。そのため、ご相談者の場合には、訴訟を起こすこと検討されてもよろしいかもしれません。弁護士特約に入っておられる場合には、訴訟を提起する場合の弁護士費用は、保険会社が支払ってくれますので、安心して弁護士に依頼をすることができます。
次に、2つ目の、警察や検事からの事情聴取で何か気を付ける点はあるかという質問についてご説明させていただきます。
事情聴取の際、警察や検事は、ご相談者が話した内容を調書にまとめます。調書というのは、ご相談者が話した内容が書かれた書面です。警察や検事からは、調書が完成した後に、署名と捺印を求められますが、その際には、きちんと調書の内容を確認してから、署名捺印するようにしてください。
もし話した内容がきちんと書かれていなかったり、間違った内容が書かれていた場合には、きちんと訂正をするように警察や検事に言ってください。調書に署名捺印をすることは、調書に描いてある内容が正しいことを認めるという意味があります。そのため、もし間違った内容であるにもかかわらずに調書に署名捺印をしてしまうと、たとえその内容が事実と異なるものであったとしても、それを後から争うことが難しくなってしまいます。もし調書の内容を訂正してくれない場合には、調書に署名捺印をしないでも大丈夫です。
調書への署名捺印を拒否すると、警察や検事からは、処分が重くなるとか、逮捕するとか言われる場合もありますが、調書への署名捺印を拒否しただけでそのようなことにはなりませんので、ご安心ください。
交通事故は、民事上の問題だけでなく、刑事上の問題に発展することもあります。もしご不明な点があれば、わたくしどもような専門家にご相談ください。
(平成30年2月15日放送)