Q:
借金のことで相談があります。私は50代の会社員の男性です。専業主婦の妻と子ども2人の4人家族です。
7年前くらいに、当時の勤務先の会社の業績が悪くなったときに、リストラの対象になってしまい、失業しました。1年くらい求職活動をしていましたが、ようやく今の会社に就職しました。
失業したときに、妻が入院して多額の費用がかかったのと、住宅ローン、子どもの学資ローンの支払いなどが重なって生活が厳しくなり、キャッシングをして生活費の不足分を補うようになりました。
失業中の一時だけ借りるつもりでしたが、1年間でかなりの金額を借りてしまったのと、今の勤務先の会社からは、前の会社の半分くらいの給料しかもらえないので、どうしても生活費が足りなくなり、その後もキャッシングを続けてしまいました。
借り入れできる限度額がいっぱいになると、また次の会社から借り入れる、ということを繰り返すうちに、借金の額が700万円くらいになり、月々の返済額が20万円くらいになってしまいました。
今の給与が手取りで24万円なので、返済に充てると生活できず、またキャッシングをするということの繰り返しです。いずれ近いうちに破綻すると思い、どうしたらいいのかわからず、相談することにしました。
A:
まず、個人の方の借金を解決する方法についてご説明します。
方法としては、①任意整理、②個人再生、③自己破産、の3つがあります。それぞれ、メリットとデメリットがあります。
①任意整理と、②個人再生は、借金の支払いを続けることが前提で、自己破産は、借金が帳消しになるので、今後は借金の支払いをしなくてもよくなるという点が大きな違いです。
まず、①任意整理についてですが、債権者との交渉で、毎月の返済額を減らしてもらったり、利息を減額してもらうなど、無理なく支払えるような条件に変更してもらうことになります。
これは、交渉ですので、債権者ごとに条件を変えたり、住宅ローンを優先的に支払ったり、ということは自由にすることができます。また、住宅などの資産を処分するも必要もありません。
ただし、交渉なので債権者に合意してもらう必要があること、多額の過払い金が発生する場合でもない限り、借金の金額自体を減らすことは難しいというデメリットがあります。また、借金の総額によっては月々の支払額がそれほど減らないこともあり得ます。
次に、②個人再生についてですが、最大のメリットは、自己破産の場合と違って、住宅ローンが残っている住宅がある場合に、住宅を手放さなくてよいという点です。
個人再生は、任意整理と異なり、裁判所に申立てをする必要があります。
借金の返済を続けることを前提とする点では、任意整理と共通ですが、任意整理と異なり、借金の総額自体を減らすことができます。
それぞれの事情によって変わってきますが、大まかにいえば、だいたい、借金の額が5分の1に減ることになります。
③自己破産も、個人再生と同じで裁判所に申立てをする必要があります。
先ほどもご説明したように、自己破産が認められれば、それまでの借金は支払わなくてよいことになりますが、住宅などのプラスの財産があれば処分しなくてはなりません。
ご相談者の場合、住宅ローンが残っているご自宅があるようですので、個人再生という方法が可能であれば、まずは個人再生を検討してみて、それが無理であれば自己破産の申立てを検討するという方法がよろしいと思います。
個人再生や自己破産の申し立てをご検討される場合には、専門家にご相談された方がよろしいかもしれません。
(平成30年2月1日放送)