Q:
私は30代半ばの主婦で、家族構成は、保育園に通う子どもと、小学3年生の子どもと、夫の4人家族です。
私はパートで週に3回仕事をしていて、夫は会社員で、週に4日くらい夜勤もしています。数年前から、夫とは家庭内別居状態です。
以前から夫は、私が職場の男性と浮気していると疑っているようで、先週もこのことで口論になってしまいました。私には全く身に覚えがないことなのですが、何回も夫に説明しても理解してもらえません。夫は、「もう離婚だ!子どもの親権は渡さない!」などと言って、子どもたちを連れて、自分の実家に帰ってしまいました。
夫に、「子どもを返して」と言っても、「子どもは渡さない!」の一点張りです。子どもたちがきちんと保育園や小学校に行っているのか心配で、保育園や小学校に問い合わせたところ、子どもたちは保育園にも小学校にも来ていないと言われました。保育園や学校には、夫から、「子どもが病気なので、しばらく休む」という連絡があったそうです。
子どもたちのことがとても心配です。夫とは離婚しても構わないと思っていますが、子どもたちの親権は絶対に渡したくありません。もし離婚となった場合、私が親権をとれるでしょうか?

A:
ご主人とお話し合いをしても、親権についての意見が合わない場合には、最終的に裁判所が、ご相談者とご主人のどちらが親権者としてふさわしいか決めることになります。
親権について、裁判所は、お子さんにとっての環境を変えない方が、お子さんの福祉に適うと考えています。そのため、ご相談者ではなく、ご主人がお子さんたちを育てているとう今の状態が続いてしまうと、その後、最終的に裁判になった場合、ご主人が親権者となってしまう可能性がとても高くなってしまいます。そのため、まずは大至急、お子さんたちをご主人から連れ戻すことが必要です。
お子さんたちをご主人から連れ戻す方法ですが、ご主人とはお話し合いで解決することが難しいようですので、そのような場合には、裁判所に、お子さんの監護者指定と引き渡しを求める審判を申し立てる必要があります。監護者というのは、お子さんを引き取って一緒に生活をしながら、身の回りの世話をするという権利のことです。
ご相談者とご主人のどちらが監護者としてふさわしいかを判断する際、裁判所では、①どちらが監護者としての適格性を有しているのかという事情や、②お子さんたちがどちらと一緒に生活をしたがっているのかという事情、③お子さんの年齢、④これまではどちらがお子さんたちを監護してきたのかという事情などが考慮されます。

Q:
私はパートで仕事をしていますが、夫は会社員なので、夫の方が私よりも収入が安定しています。その場合、私にとって不利になってしまうのでしょうか?

A:
たしかに、裁判所は、ご相談者がお子さんたちを育てることができる経済状況にあるのかという点も考慮します。
しかし、ご相談者の方が収入が少ないから、絶対に監護者にはなれないというわけではありません。例えば、ご相談者がご自分のご実家から経済的な援助を受けられる場合などは、ご相談者の方が収入が少なくても特に問題はありません。
むしろ、お仕事の面では、ご相談者のご主人が週に4日くらい夜勤ということですので、もしご主人が監護者となった場合、ご主人がお子さんたちを実際に育てることは難しいのではないかと裁判所から判断される可能性が高いと思います。

Q:
先ほど、裁判所がどちらが監護者としてふさわしいかを判断する際、子どもの年齢も考慮するというお話がありましたが、それはどういう意味ですか?

A:
裁判所では、お子さんの健全な成長のために、乳幼児期は、特に母親の存在が大事だと考えられています。そのため、お子さんの年齢が小さい方が、母親が監護者となる可能性が高くなります。
また、ご相談者のご主人は、お子さんを保育園や小学校にきちんと通わせていないようですので、裁判所から、監護者としてふさわしくないと判断される可能性も高いです。
そのため、すぐに裁判所に、お子さんの監護者指定と引き渡しを求める審判を申し立てれば、ご相談者が監護者と認められて、お子さんたちを引き取って育てることができる可能性がとても高いと思います。そうすれば、今後離婚となった場合、親権者にもなれる可能性がとても高くなります。
監護者指定と引き渡しを求める審判はご自分でも裁判所に申し立てることは難しいと思いますので、わたくしどものような専門家にすぐにご相談された方がよろしいと思います。

(10月19日放送)