Q:
私は27歳で、外資系の会社で働いています。今年32歳になる夫と同じ会社で出会ってお付き合いを始め、3年前に結婚しました。最近、夫の子を妊娠し、6か月後くらいに第一子を出産する予定です。
夫も私も職場が外資系なので、働きながら出産、育児をすることは相当難しいと思っています。子育ては、私が中心となってするつもりですが、一方で、現在の仕事自体に不満はないので、出産に伴って退社することは考えていません。また、仕事にブランクがあると復帰するのが難しいので、そこまで長期の休みをとるつもりはありません。
会社の先輩社員から、女性が出産や育児をする場合に利用できる制度があると聞いています。そこで、制度の概要を教えていただけませんか?
A:
1【はじめに】
お子さんを持つことになった労働者の保護を目的とした制度は複数ありますので、順番にそれぞれの概要をご説明します。
2【産前産後休業の概要】
まずは、産前産後休業(労基法65条1項、同条2項)についてご説明します。これは、産前6週間前から産後8週間まで休業することができる制度です。
産前休業については、使用者に請求して取得することになります。なお、ここでの産前とは出産予定日を言いますので、実際に出産日が出産予定日よりも後にずれれば、その分だけ、産前休業期間も伸びることになります。
産後休業は、使用者へ請求するかどうかにかかわらず、原則8週間の休業です。ただし、産後6週目を過ぎた段階で、労働者が希望すれば、医師の許可を得ることを条件に、例外的に就業できるとの定めもあります。仕事上のブランクが空くこと極力避けたいのでしたら、こういった方法もあります。
3【育児休業の概要】
育児休業とは、1歳に満たないお子さんを養育するためにする休業(育児介護休業法2条)のことをいいます。
育児休業は、1人のお子さんに対して、原則として1回だけ認められ、お子さんが1歳になるまでの任意の期間、休業できます。
手続きとしては、お子さんの氏名、労働者との関係、休業開始日、休業終了日などの事項を明らかにして、使用者に申し出ることになります。なお、育児休業をとる場合には、休業開始の予定日の1か月前までに申し出なければなりません。
また、近時は、ご存知のとおり、待機児童の問題があるため、お子さんが保育園に入園できないなどの事情がある場合には、お子さん1歳6か月になるまで休業期間を延ばすことが認められています。
4【子の看護休暇制度】
小学校就学前のお子さんを養育する労働者は、申し出により、原則として1年間につき5日まで、病気や怪我をしたお子さんの看護のために、休暇を取得することができます。この制度は、いわゆる有給とは別枠で休業できるものです。
5【その他の制度】
まだまだ他の制度もありますが、今回は割愛させていただきます。
6【手当・給付金について】
休業中、その間の生活や育児の費用をどう捻出するかは、ご心配なことと思います。そこで、産前産後休業と、育児休業をとった場合に認められている手当などについても簡単にご説明しておきます。ただし、要件や手続きが細かく、受給できない場合についての規定もありますので、実際に受給を希望される際には、勤務先の窓口で事前に問い合わせていただいた方が確実だと思います。
まず、出産のために休業した場合、出産前は産前42日、産後56日間、出産手当が支給されます。
具体額の計算は細かすぎるので、おおまかにご説明すると、1日につき、だいたい月給を日給にならした額の3分の2に相当する金額が支払われることになります。
また、育児休業中に関しては、一定の条件を満たす方には、育児休業後180日までは、休業を始めた時点での1日の賃金の67%相当額が、それ以降は、50%相当額の育児休業給付金が支給されます。
なお、これらの手当や給付金を受給する場合には、働かれている方であれば、通常は、勤務先の窓口で必要書類を添えて申請することになります。
(9月7日放送)