Q:
飼っていた猫が、動物愛護のNPO法人と名乗る人に勝手に連れ去られてしまいました。
ウチの猫は、家の中だけでなく、自由に外に散歩にも行きます。散歩に行ったときに、連れ去られてしまったのです。
我が家で何年も可愛がってきた猫です。何とかして連れ戻したいのですが、どうすればよいでしょうか。
A:
とても心配ですね。なんとかして猫ちゃんを連れ戻したいですよね。
ペットは家族の一員だと思いますが、法律上、ペットは「物」、つまり、動産として扱われます。
猫ちゃんの所有者はご相談者ですので、猫ちゃんを連れ去ってしまった人に対して、返してくださいと請求する権利があります。これを所有権に基づく返還請求権といいます。
飼っていた猫ちゃんは首輪はついていましたか?
Q:
ついていました。首輪には、飼い主である私の名前とウチの住所と電話番号も書いてありました。
A:
そうなんですね。首輪がついていなくても、猫ちゃんを返してくださいと請求することはできるのですが、もし連れ去った人が、ご相談者がその猫の飼い主ではないと言ってきた場合には、首輪がついていて、さらにご相談者のお名前も書いてあった方が、ご相談者が所有者であると強く主張することができます。
他に、猫ちゃんを買ったときの契約書等や猫ちゃんの写真などもあれば、さらにご相談者が猫ちゃんの所有者であると主張できる証拠になってきます。
Q:
そうなんですね。もし猫を連れ去った人が猫を他の人に売ってしまった場合にも同じように言えるんですか?
A:
猫ちゃんを買った人が、自分が猫を買った相手、つまり猫を連れ去った人に本当は猫の所有権がないことを知っていた場合や、知らなかったことに過失、つまり落ち度がある場合には、猫ちゃんを買った人に対しても猫ちゃんを返してくださいと請求することができます。
しかし、猫を買った人が、自分が猫を買った相手に本当は猫の所有権がなかったことを知らなかった場合で、知らないことに落ち度がない場合には、返してくださいと請求することができなくなってしまいます。これは民法192条に書かれているのですが、即時取得と言います。
そのため、猫ちゃんが他の人に売られてしまう前に、猫を連れ去った人に対して、返してくださいという請求を早くした方がよろしいと思います。
Q:
そうなんですね。誰かに売られてしまうと大変ですね。すぐに猫を返してくださいと請求しないとダメですよね。
猫を買った人が、自分が猫を買った相手に猫の所有権がなかたことを知らなかった場合で、知らなかったことに落ち度がない場合には、猫を返してもらうことは絶対にできないんですか?
A:
先ほどの即時取得という制度には例外があります。例外は民法193条に書かれているのですが、猫が盗まれた物である場合には、盗まれたときから2年間は、返してくださいと請求することができます。
Q:
2年間は大丈夫なんですね。ただ、猫が心配なので早く請求しようと思います。
具体的にはどうやって請求すればよいのでしょうか?自分で請求するのは難しそうなのですが・・・。
A:
いきなり裁判を起こすのではなく、まずは内容証明郵便を送って請求したり、調停を起こして請求することができます。調停と言うのは、裁判所で行うお話し合いのことです。
ご自分でも請求することはできますが、もしご自分で請求をすることが難しい場合には、専門家にご相談された方がよろしいと思います。その際には、お気軽にご相談ください。
(8月10日放送)